定年退職となって、再雇用された友人は、だれもが、給与が下がったという。
再雇用制度では、同じ会社で、継続雇用されるのと引き換えに、大幅な賃金の減額となるのである。
大幅カットされた賃金を補うため、雇用保険制度の中に「高年齢雇用継続給付」という制度がある。
この制度で、どこまで賃金ダウンが救済されるだろうか。
再雇用で気になる賃金
再雇用=退職して、契約社員として再雇用されることである。
年俸制や月給制から、時給制となることにより、賃金は大幅に下がるのである。
では、時給はどのくらいであるのだろうか。
人事曰く、よくてコンビニ並だそうだ。
つまり、900円/時から1200円/時ぐらいである。
計算を簡単にするため、1000円/時とすれば、1000円✕8時間✕20日✕12ヶ月=192万円が年収となる。
これでは、コンビニと同じというなかれ、再雇用では、賞与がプラスされるので、その分は、収入は多いのがメリットである。
高年齢雇用継続給付制度とは
平均的な現役世代の年収は、422万円である。
再雇用後では、賞与を除けば、ほぼ半分の賃金となる。
「前職の賃金より、75%未満となった場合は、高年齢雇用継続給付がうけられる」
高年齢雇用継続給付支給額の条件
- 60歳以上65歳未満の雇用保険に加入。
- 雇用保険加入期間が通算5年以上あること。(退職してから1年以内)
- 60歳時点と比較して、60歳以降の賃金が60歳時点の75%未満である。
高年齢雇用継続給付支給額の上下限
支給の上限:357,864円以上は支給されない。
支給の下限:1,976円以下は支給されない。
高年齢雇用継続給付支給額の支給日
2ヶ月毎の給与の約2日後が支給日となります。
実際計算してみよう
計算を簡単にするため、60歳時40万円、60歳後再雇用時の賃金を25万円とする。
60歳時の賃金と比較して、62.5%(25万円÷40万円✕100)となり、75%未満のため、支給対象となります。
支給額=(ー183÷280✕A)+(137.5÷280✕B)
A:新しく支払われた賃金 B:60歳に到達する前の6ヶ月の平均賃金へ
A=25万円、B=40万円を代入すると、
約3.3万円が支給額となります。
Q&A
通勤手当の取扱
通勤手当は、賃金となっていますので、60歳到達後の賃金に含まれます。
60歳到達前に支給された賃金は、6ヶ月分前払いの通勤手当であっても、60歳以降の賃金に加算しない。
賞与の取扱
60歳到達後の支給された賃金の中には、賞与を含めない。
月々の賃金を下げて、賞与を上げてもらうことができれば、有利となります。
年金との関係
高年齢年齢雇用継続給付を受け取ることにより、年金がカットされるのである。
計算式
支給停止額=60歳以降の賃金✕(0.18%〜6%)
低下率(%)=60歳以降の賃金月額÷60歳到達時の賃金月額✕100
・低下率61%未満 支給停止額=60歳以降の賃金✕6%
・低下率61%〜75%未満 支給停止額=60歳以降賃金✕調整率
調整率%=(−183✕低下率+13,725)÷280✕100÷低下率✕6÷15
具体的計算
60歳到達前の賃金 40万円 60歳以降の賃金 25万円
低下率
25万円÷40万円✕100=62.5%
調整率
(−183✕62.5+13,725)÷280✕100÷62.5✕6÷15=5.23%
支給停止額
25万円✕5.23%=13,075円
まとめ
60歳定年後、再雇用制度を活用する人は、増えてきているが、賃金の大幅カットは避けられない。
この制度を活用して、下げ幅を少しでも減らすようにしたい。
申請は、会社がやることになったいるが、申請がされたかをしっかり確認することを、お忘れなく。
追記
わたしが、過去に、会社から再雇用の条件提示された年収は、
年収 200万円 時給換算 1,041円/時間
でした。