定年退職後、国民健康保険料が高いことに驚かされます。なぜ、国民健康保険料は、高いのでしょうか。
国民健康保険とは
なぜ、私たちは、国民健康保険に加入しなければならないのでしょうか。
日本は、「国民皆保険制度」のため、国民すべてが、公的医療保険に加入する義務があるからです。健康だからといって、国民健康保険をパスすることはできません。
医療保険には、以下の種類があり、国民健康保険も、この中に含まれます。
健康保険組合(組合健保):主に大企業などの従業員とその家族が加入
全国健康保険協会(協会けんぽ):組合健保のない中小企業の従業員とその家族が加入
共済組合(共済):公務員とその家族が加入する医療保険。「国家公務員共済組合」など
国民健康保険(国保):自営業者とその家族など、上記の健康保険の加入者以外の人が加入
後期高齢者医療制度:75歳以上の人
75歳未満で、会社、役所などで働いていない人とその家族が入る医療保険が、国民健康保険となります。国民健康保険から逃れるためには、75歳まで、会社勤めをすることで可能となります。
国民健康保険料は税金より高い
国民健康保険料は、正直、高いです。なぜ、保険料が高い主な理由は、次の三つです。
- 国民健康保険は、保険料を全額加入者が負担しなければなりません。健康保険は、会社が半分負担してくれます。
- 扶養という考え方がありません。働いていない人も、保険料を収めなければなりません。
- 配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・医療費控除等の各種所得控除や、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)等の各種税額控除、雑損失の控除の控除がされません。
例えば、年収200万円の国民健康保険料の全国平均値と所得税、住民税について概算比較すると、
税・保険料 | 金額(1年分) | 割合 |
国民健康保険料 | 14.4万円 | 7.2% |
所得税 | 10.2万円 | 5.1% |
住民税 | 8.9万円 | 4.5% |
となり、国民健康保険の負担が大きいことがわかります。
国民健康保険料の軽減
国民健康保険料には、保険料の軽減の措置があります。
所得が少ない人
軽減 割合 | 条件 | |
7割減 | 総所得等の合計が43万円+(*給与所得者等の数−1)×10万円以下 | |
5割減 | 総所得等の合計が43万円+(28万5千円×#被保険者数)+(*給与所得者等の数−1)×10万円以下 | |
3割減 | 総所得等の合計が43万円+(52万円×被保険者数)+(*給与所得者等の数−1)×10万円以下 |
*:給与所得者等とは、一定の給与所得者(給与収入55万円超)と公的年金所得者(65歳未満の場合は公的年金等収入が60万円超、65歳以上の場合は公的年金等収入が110万円超)のもの
#被保険者数には、同じ世帯の中で国民健康保険から後期高齢者医療制度へ移行した方(特定同一世帯所属者)も含む
この軽減を受けるための手続きは、必要ありません。世帯の国保加入者の中に所得未申告の方がいる場合は軽減が適用されません。未申告の方の所得申告(所得なしという)が必要です。
<計算例>
前提 夫68歳 年金収入200万円、妻66歳 収入なし
軽減判定所得
年金控除分 200万円ー110万円=90万円
65歳以上特別控除 15万円 90万円−15万円=75万円・・・軽減判定所得
軽減割合は、5割軽減=43万円+28万5千円×2=100万円>75万円
100万円以下のため、5割軽減となる。
会社の倒産・解雇などで離職した人
- 雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇などによる離職)
- 雇用保険の特定理由離職者(雇い止めなどによる離職)
軽減措置
前年度の所得を100分の30としてみなしてくれます。
軽減期間
離職した翌日から翌年度末までの期間
こちらは、申請が必要です。
まとめ
国民健康保険料は、控除額が少ない、会社負担がないなど、とても高額になります。また、7割の軽減しかないため、たとえ、無収入であっても、3割分を負担しなければなりません。
今後、更なる高齢化にともない、保険料が上がっていく可能性があります。国民健康保険料は、老後生活を圧迫することになるのは、間違いありません。