安心した老後をおくるためには、1億円というニュースをよく聞きます。
必要な老後資産は、いったいいくらでしょうか。
必要な資産を知ることにより、いたずらに不安がらずに、老後を送りたいものです。
おひとりさまの老後の生活費
生活費
家計調査報告(家計収支編)令和元年によれば、高齢者の一人暮らしでは、一ヶ月の生活費は、約14万円となります。その内訳は、下記となります。
生活費内訳(2019年) | |
---|---|
食料 | 35,883 |
住宅 | 12,916 |
光熱・水道 | 13,055 |
家具・家事用品 | 5,681 |
被服・履物 | 3,659 |
保険医療 | 8,445 |
交通・通信 | 13,117 |
教育 | 47 |
教養娯楽 | 16,547 |
諸雑費 | 14,366 |
交際費 | 15,258 |
仕送り | 569 |
直接税 | 6,245 |
社会保険料 | 5,808 |
計 | 151,796 |
住宅費の注意
このデーターでは、住宅費が、12,916円である。高齢者には、持ち家が多いため、住宅費が下がっている。賃貸を考えている場合には、今かかっている賃貸料(たとえば6万円など)で考えた方がよい。
予備費
生活費以外に、忘れてはいけないのが、予備費=リスク費です。
予備費として考えるのは、「医療費」と「介護費」があります。
たとえば、65歳以上の高齢者はの医療費は、厚生労働省の統計によると、年間約74万円の3割負担(70歳からは2割負担)で準備が必要です。
介護費は、生命保険文化センターによると、年間約80万円で、介護期間は、5年間ということです。
住宅ローンが完済していない場合には、住宅ローン費用も、考えておく必要があります。
おひとりさまの老後の収入のメインは年金
年金収入
年金収入金支給額は、平均値としては、
国民年金が、月額5.5万円(年額66万円)
厚生年金が、月額14.7万円(年額176.4万円)である。厚生年金額は、男女の差が大きく、男性は、16.7万円、女性は、10.2万円となっています。
正確な年金支給額については、50代の人は、「ねんきん定期便」で確認するのが一番簡単です。
50代前の人は、「ねんきんネット」を活用しましょう。
いったい何歳まで生きるのか
平均寿命
平均寿命とは、ゼロ歳児の平均余命のことです。
厚生労働省の調査、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳です。。
65歳の方が、87歳、80歳まで生きるということではありません。
あと何年生きられるかいうことを知りたくなります。
平均余命
平均余命とは、ある年齢の人が、その後何年生きられるかいう期待値である。
厚生労働省の平均余命表から60歳以上を抜粋したものが、下表となります。
65歳退職時には、男で、約19年、女で、約24年の残り人生があるということですね。
年齢 | 平成28年(男) | 平成27年(男) | 平成28年(女) | 平成27年(女) |
---|---|---|---|---|
60 | 23.67年 | 23.51年 | 28.91年 | 28.77年 |
65 | 19.55年 | 19.41年 | 24.38年 | 24.24年 |
70 | 15.72年 | 15.59年 | 19.98年 | 19.98年 |
75 | 12.14年 | 12.03年 | 15.76年 | 15.76年 |
80 | 8.92年 | 8.83年 | 11.82年 | 11.82年 |
85 | 6.27年 | 6.22年 | 8.39年 | 8.39年 |
90 | 4.28年 | 4.27年 | 5.62年 | 5.62年 |
結論、おひとりさまの老後資金のずばり必要額
男性の場合(厚生年金、持ち家、65歳以降働かない)
生活費
15万円✕12ヶ月✕19年=3420万円
予備費
医療費 74万円✕0.3✕5年+74万円✕0.2✕14年=318.2万円
介護費 80万円✕5年=400万円
年金収入
16.7万円✕12ヶ月✕19年=3807.6万円
老後資金必要額
(3420万円+318.2万円+400万円)ー3807.6万円=330.6万円
女性の場合(厚生年金、持ち家、65歳以降働かない)
生活費
15万円✕12ヶ月✕24年=4320万円
予備費
医療費 74万円✕0.3✕5年+74万円✕0.2✕19年=392.2万円
介護費 80万円✕5年=400万円
年金収入
10.2万円✕12ヶ月✕19年=2937.6万円
老後資金必要額
(4320万円+392.2万円+400万円)ー2937.6万円=2174.6万円
同様に、持ち家、賃貸(持ち家+6万円)、厚生年金、国民年金等の組み合わせで、老後の必要額をまとめると以下の表となります。
性別 | 年金種類 | 持ち家有り | 賃貸 |
---|---|---|---|
男 | 国民年金 | 2656.2万円 | 4024.2万円 |
男 | 厚生年金 | 102.6万円 | 1470.6万円 |
女 | 国民年金 | 3240.2万円 | 4968.2万円 |
女 | 厚生年金 | 1886.6万円 | 3614.6万円 |
おひとりさまの場合、老後資金を1億円も準備する必要はなさそうだが、加入している年金、持ち家の有りなしで、必要な老後資金の大きく差があります、
女性で、国民年金だけ、賃貸では、必要な老後資金も多いため、早めの老後の準備が必要です。
必要な資金は、以下のように補っていくことになるだろう。
1,現役時代に貯めるか、
2.現役を延長して、稼ぐつづけること
まとめ
これまで説明してきた必要な老後資金は、あくまでも平均値です。
生活費も、年金支給額、それから、寿命も人それぞれですが、こんなに必要なのかと不安がらないで、まず、必要な資金を知ることが大切なのです。
老後は、様子を見ながら、可能な範囲で、働き、準備できる資金で老後の生活を描いていけばいいのである。
参考に令和元年の年代別の金融資産保有額をみてみると、60代では、20.2%が、3000万円以上の金融資産を持っていることになっている。予想以上に資産を持っているのではないか?