自分が認知症になる?
だれでも、多少なりと認知症への不安をもっているでしょう。ダイヤ高齢者社会研究財団「50代・60代・70代の老後資金等に関する調査」によると、70代後半の男の三人に一人は、自分が認知症になることを不安に思っている。
平成29年度高齢者白書によると、2012年は認知症患者数が約460万人、高齢者人口の15%という割合だったものが2025年には5人に1人、20%が認知症になるという。
認知症とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が破壊・減少し、日常生活が正常に送れない状態になることをいう。主な以下、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症の種類がある
Wikipediaより
認知症になったら資産はどうなる
認知症などにより本人の意思判断能力が低下することで、口座が凍結されてしまう恐れがあります。口座凍結とは、引き出しや契約内容の変更ができなくなりますが、振り込みはそのまま続きます。
銀行側が意思判断能力が低下するとは、どのように判断するのでしょうか。それは、手続きの意思確認の際、「本人が窓口まで来られるか。名前、生年月日を言えるか。直筆で署名ができるか。」を一つの判断基準としているようです。
成年後見制度と民事信託
認知症から資産を守る方法として、「成年後見制度」「民事信託」があります。
成年後見制度
認知症等で判断能力が不十分となった時に、当人が不利益とならないように、法的にその人を援助する人=後見人を決めておく制度のこと。成年後見制度は、2種類あります。
法定後見人 | 任意後見人 | |
申立人 | 本人・配偶者・4等親内親族・検察官など | 本人 |
対象者 | 判断能力が不十分な人 | 判断能力があるうち |
成年後見制度は、家族、四親等内の親族のうちの誰かを「申立人」として、家庭裁判所に「後見開始申立」の手続きをすることから始めます。
成年後見人のできること
- 本人の診療・療養介護・福祉サービスなどの利用契約をすること
- 本人の預貯金や不動産などの財産管理
- 年金・福祉手当等の受領に関すること
- 生活に必要な物品の購入、光熱費の支払い
- 重要書類・印鑑・通帳等の保管
成年後見人のできないこと
- 戸籍に関する契約の変更(婚姻・離婚・離縁・養子縁組・認知等)
- 遺言書の作成
- 医療行為(軽度の診察・緊急を要するものを除く)への同意
民事信託=家族信託
財産を管理する点では、民事委託も任意後見も似ているが、民事委託は、認知力の低下に関係なく、契約で、開始する時期を決めれる。また、裁判所などの公的判断に縛られずに、契約の範囲で、自由に財産を扱うことができる。民事信託では、財産だけを管理でき、生活や健康、療養等に関する法律行為を行うことはできない。(身上看護はできない)
家族信託の手続きを個人で行うのは非常に難しいため、家族信託を検討する際には、まずは司法書士・弁護士等の専門家に相談しましょう。
まとめ
認知症を発症すると、資産が凍結されることがあることを知っておきましょう。資産を守るために、民事信託や成年後見人制度を利用しましょう。
民事信託、成年後見人制度とも、自分で制度を利用するのは、難しいので、専門家の力を借りましょう。自分だけではなく、家族を含めた老後生活を安心して送るために、必要なことです。